Classici giapponesi con furigana
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おりつとこらと
お律と子等と
Leggi お律と子等と (おりつとこらと) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 25.195 caratteri · 51 schermate
」
姉の言葉が洋一には、急にはっきり聞えたような気がした。が、彼は何も云わずに、金口をふかしているばかりだった。もっとも美津はその時にはとうにもう台所へ下っていた。
「それにあの人は何と云っても、男好きのする顔だから、――」
叔母はやっと膝の上の手紙や老眼鏡を片づけながら、蔑むらしい笑いかたをした。するとお絹も妙な眼をしたが、これはすぐに気を変えて、
「何? 叔母さん、それは。」と云った。
「今神山さんに墨色を見て来て貰ったんだよ。――洋ちゃん、ちょいとお母さんを見て来ておくれ。さっきよく休んでお出でだったけれど、――」
ひどく厭な気がしていた彼は金口を灰に突き刺すが早いか、叔母や姉の視線を逃れるように、早速長火鉢の前から立ち上った。そうして襖一つ向うの座敷へ、わざと気軽そうにはいって行った。
そこは突き当りの硝子障子の外に、狭い中庭を透かせていた。中庭には太い冬青の樹が一本、手水鉢に臨んでいるだけだった。麻の掻巻をかけたお律は氷嚢を頭に載せたまま、あちら向きにじっと横になっていた。そのまた枕もとには看護婦が一人、膝の上にひろげた病床日誌へ近眼の顔をすりつけるように、せっせと万年筆を動かしていた。