Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おさかなじょし

お魚女史

坂口 安吾

Leggi お魚女史 (おさかなじょし) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9457 caratteri · 19 schermate

Aozora Bunko

「こんなこと、なんでもないのよウ。先生、ハズカシイのウ。間違っちゃ、ダメよウ。男の人ッて、ウヌボレルわネエ。すぐ、そんな風に思うらしいわ。思うわネエ。でも、イイさア、こんなことウ。ネエ、先生、私イ、探偵小説、かいてんのよウ」

私は羞しさに混乱して、お魚女史の言葉などは、もう、きこえなかった。私はマーケットへ散歩に行って本を買ってくるつもりであったが、とても人混みの方へは行けない。喫茶店へはいれば、何事を、どこまで喋りまくって、何事が起るか見当もつかない。人の居ない焼跡の方へ歩けば、益々小平三世ぐらいに見立てられるに極っている。万策つきて、

「アッ、そうだ、忘れ物をした」

と叫ぶと、お魚女史の手を払って、私は血相変えて、駈けだしていた。戦争中のバクダンのお見舞以来、こんなにイノチガケで走ったことはない。

その次に、路上で会ったとき、

「あらア。先生、先生たら、案外ウブだわねえ。あんなに、ハズカシがって、逃げだすなんて、そんなに、ハズカシイのウ。あらア。先生たら、マッカになったわよウ。あらマア、キャーッ」

御自分の方がマッカになって、身悶えて、又、私にナガシメをくれた。