Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きりぎりす

きりぎりす

太宰 治

Leggi きりぎりす di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 37.186 caratteri · 74 schermate

Aozora Bunko

私は、結局は、おろかな、頭のわるい女ですのね。

「いろんなことを考えたのよ。あたし、ばかだわ。あたし、しんから狂っていたの。」

「むりがねえよ。わかるさ。」あの人は、ほんとうに、わかってるみたいに、賢こそうな笑顔で答えて、「おい、おれたちの番だぜ。」

看護婦に招かれて、診察室へはいり、帯をほどいてひと思いに肌ぬぎになり、ちらと自分の乳房を見て、私は、石榴を見ちゃった。眼のまえに坐っているお医者よりも、うしろに立っている看護婦さんに見られるのが、幾そう倍も辛うございました。お医者は、やっぱり人の感じがしないものだと思いました。顔の印象さえ、私には、はっきりいたしませぬ。お医者のほうでも、私を人の扱いせず、あちこちひねくって、

「中毒ですよ。何か、わるいものを食べたのでしょう。」平気な声で、そう言いました。

「なおりましょうか。」

あの人が、たずねて呉れて、

「なおります。」

私は、ぼんやり、ちがう部屋にいるような気持で、聞いていたのでございます。

「ひとりで、めそめそ泣いていやがるので、見ちゃ居れねえのです。」

「すぐ、なおりますよ。注射しましょう。」

お医者は、立ち上りました。