Classici giapponesi con furigana
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このこをのこして
この子を残して
永井 隆
Leggi この子を残して (このこをのこして) di 永井 隆 (ながいたかし) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 102.102 caratteri · 203 schermate
その上が十三歳のアントニオ。ひとりも途中で倒れず遅れず、とうとう二月五日に長崎へ着いたんだ。うちの横のその道をお昼すぎに通ったのだよ。向こうの大学の横を通り、港の岸にそうて西坂にたどりついたのが夕方。夕日が赤く刑場をそめるころ、十字架の上で、やりを受けて死んだ。にこにこしてなあ。やりが胸を貫いたとき、ルドビコは「天国、天国」と言い、指さきがびりびりと動いたそうな。ヤコボ喜左衛門じいさんは何も言わず、しずかに息絶えたらしい。初めから終わりまで人目をひくことのきらいな性分だったのだね。
文久二年、ローマのペトロ大聖堂で、公式の日本二十六聖人の祝祭が行なわれ、毎年二月五日、世界の教会がこの祭りをするようにとの教皇の詔が出た。灯台もと暗しのたとえのとおり、知らぬは日本人だけだった。
誠一が生まれた七日目、洗礼を受けるとき、お父さんは多くの聖人のうちからこの聖ヤコボ喜左衛門を選んで、霊名の聖人になっていただいた。一生このおじいさんを手本にして暮らしてほしいと思ってね。
「へりくだり!」
このおじいさんの一生を貫いたものはこの精神だった。
出しゃばるな、偉ぶるな、名を売るな、人気者になるな、世間を気にするな、いつも隠れて善いことをせよ!