Classici giapponesi con furigana
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さかずきのりんね
さかずきの輪廻
小川 未明
Leggi さかずきの輪廻 (さかずきのりんね) di 小川 未明 (おがわみめい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.603 caratteri · 21 schermate
そして、晩方になると取り出されて酒をついで上げられました。やがて、ろうそくの火がともりつくした時分に、磬をたたいて、さかずきの酒は、別のさかずきの中に移されました。
「おじいさんのめしあがった後の酒は、味がうすくなった。」といって、息子は、その酒を自分で飲みました。
大事なさかずきだからというので、息子が、そのさかずきに酒をついで上げたり、また、下ろさなかったときは、彼の女房がいたしました。女房は、真の父、母の子供ではなかったけれど、もっともよく息子の心持ちを理解していたからです。そして、いつしか、彼と同じように、先祖の霊に対して、それをなぐさむることを怠らなかったからです。
しかし、たとえ、いかように、心づくしをしても、もう、死んでしまった人は、永久にものをいわなければ、こたえもしない。仏壇に、ささげられたさかずきの酒は、ほんとうに一滴も減じはしなかったのです。
「好きな酒を上げても、お父さんは、めしあがらなければ、お菓子を上げても、お母さんは、お好きだったのに、めしあがりはなさらない。」と、息子は、あるときは、仏壇の前に立って、涙ぐんでしみじみといったことがありました。