Classici giapponesi con furigana
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さようなら
さようなら
田中 英光
Leggi さようなら di 田中 英光 (たなかひでみつ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 22.251 caratteri · 44 schermate
やがて、ぼくの目上の肉親たちが集まり、妻子、リエも入っての親族会議。リエとの別れを強制され、妻子も東京に出てくる。ぼくは理性的にそれを承知したが、感性的には汚された女としてぼくの肉親たちにさえ軽蔑され、ぼくと別れると世界中でひとりぼっちになる、リエの不幸な孤独にあっさり、「さようなら」をいう気にならぬ。「また逢う日まで」との惜別の言葉が、この動乱の日本で許されるなら――。だがぼくと別れ、女ひとりになったリエが、この世の阿鼻叫喚に忽まちまきこまれ、影も姿も消えうせる恐ろしさにぼくは堪えられぬ。別離と忘却はぼくたち人間に共通した宿命なのだが、それだけにぼくは戦争中のあっさりした、数々の「さようなら」が厭で、どこ迄も、「さようなら」をいわずリエと別れなかった。よそ眼には退廃不潔にみえようとも、ぼくにはそんなリエとの別離の予感に、生命を燃焼させるほどの愛欲生活がギリシャの牧童の恋物語を想わせるほど美しくひたむきなものと思われた。ぼくはリエと死ぬ迄、一緒にいたかった。だが、それでいて、ぼくは自分の不幸な四人の子供たちに、とっても「さようなら」をいえる勇気もない。