Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たずねびと

たずねびと

太宰 治

Leggi たずねびと di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7132 caratteri · 14 schermate

Aozora Bunko

下の男の子は先刻のもらい乳のおかげで、うとうと眠っていますが、上の女の子は、もはや炒り豆にもあきて、よそのひとがお弁当を食べているさまをじっと睨んだりして、そろそろ浅間しくなりかけているのです。

ああ、人間は、ものを食べなければ生きて居られないとは、何という不体裁な事でしょう。「おい、戦争がもっと苛烈になって来て、にぎりめし一つを奪い合いしなければ生きてゆけないようになったら、おれはもう、生きるのをやめるよ。にぎりめし争奪戦参加の権利は放棄するつもりだからね。気の毒だが、お前もその時には子供と一緒に死ぬる覚悟をきめるんだね。それがもう、いまでは、おれの唯一の、せめてものプライドなんだから。」とかねて妻に向って宣言していたのですが、「その時」がいま来たように思われました。

窓外の風景をただぼんやり眺めているだけで、私には別になんのいい智慧も思い浮びません。或る小さい駅から、桃とトマトの一ぱいはいっている籠をさげて乗り込んで来たおかみさんがありました。

たちまち、そのおかみさんは乗客たちに包囲され、何かひそひそ囁やかれています。「だめだよ。」とおかみさんは強気のひとらしく、甲高い声で拒否し、「売り物じゃないんだ。