Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あじさい

たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集

佐藤 春夫

Leggi たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集 (あじさい) di 佐藤 春夫 (さとうはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 41.277 caratteri · 84 schermate

Aozora Bunko

調子に合せて歌い出したのです――

客よ おどろくな

十三時だ。時には

二十三時も打つ

だが針を見ろ十一時だ

このキテレツな

と! 言いかけたその瞬間です。

時計は一大叫喚を上げたかと思うと、私の指にいやというほど噛みついたのです。

ぜんまいの鍵を投げすてると、わたしは自分の親指に垂れている血を見ました。

約一分の後、静にわたしは回想し得たのですが、調子にのってわたしはぜんまいを捩じ過ぎたらしい。バササン、ザン、ボロン! 真似がたいあの音は時計の心臓の裂けた音響だった。時計は心臓の裂けた瞬間に、ぜんまいの鍵をわたしの意志とは反対にこぜ返した。鍵はわたしの指に喰い込んだのです。

わたしの様子に愕いて椅子から飛び上った客に、わたしは冷静に言った――

「キテレツと言われたのが気に入らなかったらしい。この時計は細君のヒステリイのように怖い。ねえ、君!」

客なる独身の友は笑っています。わたしの言葉の真意を知らぬのです。尤も、諸君よ、わたしの善良なる細君はヒステリイでは無いのです。万歳!