Classici giapponesi con furigana
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『てっぽうさへいじ』ついでにもひとつ
たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集【底本画像有】
佐藤 春夫
Leggi たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集【底本画像有】 (『てっぽうさへいじ』ついでにもひとつ) di 佐藤 春夫 (さとうはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 23.182 caratteri · 48 schermate
でした。しかし、その時の彼の手の感触がわたしに妙に思えてなりませんでした。それは人込みのなかで男が男に触れる時のような、事もなげな自然なものではありませんでした。わたしなら婦人にでも触らねばならない時にだけ、あんなにためらい勝ちにそっとぶっつかるでしょう。そんなことをわたしが感じ出すと、まだ彼に会わなかった以前、彼から貰った手紙にある親愛の調子がやはりどうも、一種変調なもののような気がして来たのです。そのころわたしは弟夫婦の家に厄介になっていたので、彼もやはりそこにいることになりました。二週間ほどのうちに彼は一度外泊して来たのです。弟はそこで冗談に、昨晩はどの方面でおたのしみでしたとからかうと彼は狼狽をして、
「いや、違いま、違いま。僕は派違いです」
と答えたそうです。「派違い」という面白い言葉を一つ覚えて、それが問題になったのです。わたしはその言葉の意味を、この間の自分の空想と結びつけてすぐに、彼のことをソドミストだと断定したのです。そうしてその晩次のように彼に尋ねてみました。
「時に、君は衆道のたしなみがあるそうで――結構なことで」
彼はわたしの言葉を聞いた一瞬じっとわたしの笑顔を見ていましたが、そのうち泣きそうな苦笑をして眼を外してしまいました。