Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
『てっぽうさへいじ』ついでにもひとつ
たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集【底本画像有】
佐藤 春夫
Leggi たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集【底本画像有】 (『てっぽうさへいじ』ついでにもひとつ) di 佐藤 春夫 (さとうはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 23.182 caratteri · 48 schermate
荷をのせた手車の、そのへんに置いてあったらしいのを片手で曳き出しているモジリの筒袖外套のうしろ姿のシュルレットがなだらかな坂道を下り遠ざかって行くところであった。彼はこれからどこへ行こうと云うのであろうか。もうあきらめて西ヶ原の家へ帰るだろうか。わたくしは小雨に濡れながら物好きにわびしくしばらくそれを見送っていた。
何も東京中に秣屋はあの男ひとりと云うではないし、失踪者も行った先で秣を別に注文できないわけでもあるまいに、その注文者もあてどもなく何処までも馬の饑を案じて追っかけ捜すというのも、律気者のしわざとしても、やはりちと腑に落ちにくい。さればと云って、そんなこしらえごとを種に、わたくしの家の様子をさぐりに来る必要も無いしそんな様子とも見えなかった。
一切が奇妙である。そうして大都会のしぐれの日らしい趣が無いでもない。わたくしはやっと事件(というほどの事でもないが)そのものをはなれてそういう風に感じはじめたが、道灌山から来たというその地名だけが依然として印象に深かった。
立ち出でたついでに、わたくしはわが家の角にある街頭のスウィッチをひねってみると、ほのぐらいなかに黄ばんだ光がぼやけうるんでいる。