Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちいさこべ

ちいさこべ

山本 周五郎

Leggi ちいさこべ di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.480 caratteri · 67 schermate

Aozora Bunko

と茂次が云った、「知っているうちはみんなやられちゃったな」

「一石橋の枡屋へいったか」

「土蔵まで焼け落ちてた」

「大野屋がやられ、新石町がやられた」と利吉が云った、「友達のところはみんな焼けてうちだけ残ったもんだから、なんだか悪いことでもしたようで、肩身がせまくっていけないよ」

そして、焼けた友人たちはみな立退いてしまい、残っているのはこの二人だけらしい。ほかの者はもう戻っては来ないようだ、と付け加えた。

茂次が訊いた、「おばさんたちはまだ目白のほうか」

「まわりがこのとおりで物騒だからね」

「うん」と茂次は頷き、ちょっと口ごもってから、「おめえに断わることがあって来たんだ」と云った、「おれはこれから、やり直さなくちゃあならない、それで、大留がすっかり立直るまで、いっさいのつきあいをやめるつもりだ」

「それはおかしいよ、こんなときにこそつきあいが役に立つんじゃあないのか」

「つきあいは対等でやりたいんだ」と茂次は云った、「いこじかもしれないが、性分だからしようがねえ、頼むよ」

利吉は口をつぐんだ。

「おやじやおふくろのことを云わずにいてくれて、――」と茂次が云った、「有難う」