Classici giapponesi con furigana
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ちいさこべ
ちいさこべ
山本 周五郎
Leggi ちいさこべ di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.480 caratteri · 67 schermate
おりつは忍び足で廊下をゆき、茂次の部屋へはいった。そして、そこへ坐って、両手で顔を掩って啜り泣いた。
茂次は眼をさましていた。おりつのはいって来たときに眼をさまし、不審に思いながら、そっとようすをみていた。しかしおりつが泣いているのを聞いて、寝たままで、「なんだ」と呼びかけた。
「あたし」とおりつが囁いた、「明日おひまをもらいます」
茂次は起き直った、「なんだって」
「あたしが子供を育てるなんて間違いです、あたしは学問もないばかだし、それに」とおりつは喉を詰らせて云った、「それに、心も卑しいいやな女なんです」
「ちょっと待て」と茂次が遮った、「こんなよるの夜中にやって来て、いきなりそんなことを云われたってわけがわからねえ、いったいどうしたっていうんだ」
おりつはいまの出来事を話した。嗚咽にさまたげられて、途切れたり云いそこなったりしたが、あったことを正直に話し、いつか茂次に云われたとおり、「みだらなのは自分のほうだ」ということに気がついたと云った。
「あの子がいつもあたしにつきまとって、いつもなにか用をしたがったり、じっとみつめたりしていたのは、あたしを自分のおっ母さんだと思いたかったのよ」