Classici giapponesi con furigana
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きつねつき
ちくま日本文学012 中島敦
Leggi ちくま日本文学012 中島敦 (きつねつき) di Nakajima Atsushi (中島 敦) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9136 caratteri · 19 schermate
怯れずになお仔細に観るならば、前世に喚起した、その前々世の記憶の中に、恐らくは、前々々世の己の同じ姿を見るのではなかろうか。合せ鏡のように、無限に内に畳まれて行く不気味な記憶の連続が、無限に――目くるめくばかり無限に続いているのではないか?
パリスカスは、全身の膚に粟を生じて、逃出そうとする。しかし、彼の足は、すくんでしまう。彼は、まだ木乃伊の顔から眼を離すことが出来ない。凍ったような姿勢で、琥珀色の干涸らびた身体に向いあって立っている。
翌日、他の部隊の波斯兵がパリスカスを発見した時、彼は固く木乃伊を抱いたまま、古墳の地下室に倒れていた。介抱されてようやく息をふき返しはしたが、もはや、明らかな狂気の徴候を見せて、あらぬ譫言をしゃべり出した。その言葉も、波斯語ではなくて、みんな埃及語だったということである。
(昭和十七年七月)