Classici giapponesi con furigana
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つばくろ
つばくろ
山本 周五郎
Leggi つばくろ di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.987 caratteri · 44 schermate
始め、おれはおれで、……できるなら、新らしい生活を、始めようと思う」
「やりきれないな、そういう話しは」
吉良は突っ返すように云った。
「そこまでゆくともう弱気とか、善良などという沙汰ではないね、むしろ不徳義だし、人間を侮辱するものだ、森が男ならそういう恩恵には耐えられなくなるぜ」
「吉良ならほかに手段があるかね」
「森とは決闘するか追っ払うかだ、妻はきれいに赦すか離別するかだ、それがお互いを尊重することなんだ」
「――おれには自分に出来ることしか出来ない」
高雄は自分に云うように云った。
「――おれは人の苦しむのを見るより、自分で苦しむほうがいい、これがもし人間を侮辱することになるなら、おれは喜んでその責を負うよ」
日が経っていった。月にいちどずつ猿ヶ谷から松助が来る、表て向は療養の経過を知らせるという意味で、そのとき二人に変ったことがあれば聞き、こちらからは滞在雑費を渡すのである。……だが二人には変ったことはないとみえ、松助はなにも云わず、高雄もそれには触れなかった。松助は来ると一夜泊って、またむっとした顔で戻っていった。
大助はおいちの立っていった日から、ぷつっと母を呼ばなくなった。