Classici giapponesi con furigana
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つぼみ
つぼみ
宮本 百合子
Leggi つぼみ di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.918 caratteri · 44 schermate
おさえつけられて居る様な気のして居た。まどもしめ、戸もとじ処女の床のまわりには屏風も立ててなるたけその音の入り込まない様にとして居ても目に見えないすき間から入って来る。音や光りは今にもしずかにして居る処女の体をうごかせて目をつぶったまんま浮れ出させやしまいかと思われた。誰の頭の中にも斯うした思は満ちて居た、人達は時々のぞく様にその着物のはじをのぞいて、して置いたまんま一寸も動いて居ないのを見ては小さな溜息をつきながら安心して居た。テカテカテカテカ……処女がうす青い唇をふるわせる音の様に思われた。フラフラゆれまたたいて居る赤い灯、恋を知らずに逝った霊の色の様に見られた。
人間の力ではかり知る事の出来ない何かが目の前におっこちて来るんじゃああるまいかと思われて人達の目は屏風の中を見つめながらふるえて光って居る。いろんな事は段々はげしくすべり込んで来る。赤黄いローソクの灯の上で白い着物の人間が青いかおを半分だけ赤くして狂って居る様子、白粉をぬった娘や若い男の間を音もなくすりぬけすりぬけ歩いて居る青白く光る霊、いくら目をつぶっても話をしても思い出された。