Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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つぼみ

つぼみ

宮本 百合子

Leggi つぼみ di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.918 caratteri · 44 schermate

Aozora Bunko

「何にしよう」

母親は指をなめながら云った。

長次はしきりと撥を持ちかえて居たけど、

「はでなもん、なんか」

「越後獅子がいいよ、それじゃあ」

長次と母親の手がサッとひらめくと「シャン」しまったさえた音は川面をかすめて向う岸の倉の屋根をかすめる、都鳥の白い翼にものる。母親は目をつぶってはぎれのいい手ぶりでスラスラといい音を出す。まだ小さい自分の子のたのもしい様子を見て五年前になくなったつれあいの事を思い出してどうしてもあの位にはしあげなくっては、と思って撥をにぎって居る小さい白い手を見つめた。

二人は永い間何も彼も忘れたように弾いて居た。

その日から長次はめっきり強くなった。けれども学校では同じ位にいじめられて居たけれども、

「何んだい、天子様の御前で弾いて見せるぞ」

涙をこぼしながらそう云って居た。

家にかえるとすぐ誰が居ても斯う云って居た。

「ネエ母ちゃん、芸人だって偉いんだネー、天子様の前でだって弾けるんだもの……」

京の御人

「ついでがあんまっさかえ久しぶりで御邪魔しようと思ってます、先に御出やった時ややさんでおしたいとはんはさぞ大きゅう御なりやったろうなも、そいがたのしみやさかえ」