Classici giapponesi con furigana
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つゆのあとさき
つゆのあとさき
永井 荷風
Leggi つゆのあとさき di 永井 荷風 (ながいかふう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 74.725 caratteri · 148 schermate
それ故矢さんからひやかされたのを、なまじ胡麻化すよりも明さまに打明けてしまった方が、結句面倒でなくてよいと思ったのである。矢さんは内心むっとしたらしいのを笑いにまぎらせて、
「とにかく羨しかったな。罪なことをするやつだよ。」とテーブルの周囲に集っているお民、春江、定子など三、四人の女給へわざとらしく冗談に事寄せて、「お二人でお揃いのところを後からすっかり話をきいてしまったんだからな。人中なのに手も握っていた。」
「あら。まさか。そんなにいちゃいちゃしたければ芝居なんぞ見に行きゃアしないわ。わきへ行くわよ。」
「こいつ。ひどいぞ。」と矢さんは撲つまねをするはずみにテーブルの縁にあったサイダアの壜を倒す。四、五人の女給は一度に声を揚げて椅子から飛び退き、長い袂をかかえるばかりか、テーブルから床に滴る飛沫をよける用心にと裾まで摘み上げるものもある。君江は自分の事から起った騒ぎに拠所なく、雑巾を持って来て袂の先を口に啣えながら、テーブルを拭いている中、新しく上って来た二、三人連の客。いらっしゃいましと大年増の蝶子が出迎えて「番先はどなた。」と客の注文をきくより先に当番の女給を呼ぶ金切声。