Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ととやぜんたん

とと屋禅譚

岡本 かの子

Leggi とと屋禅譚 (ととやぜんたん) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 5874 caratteri · 12 schermate

Aozora Bunko

その僧は男振りも立派で寧ろ美男だった。

夜のしらじら明けに国太郎は帰り支度をして二階の階段を降りて来た。河岸の商売を間に合せるには、どうしてもこの時刻に出かけねば間に合わなかった。国太郎が階段を降り切ると、話し声が上に聞えて男女がもつれ合って階段を降りて来た。見ると男はかの雲水僧なので国太郎は、はっとして階段の蔭に隠れて様子を見ていた。

雲水僧はすっかり女にうつつを抜かれた様子で、玄関で草鞋を穿くまで浅間しいまでに未練気な素振りを見せて居る。これに対して女もきぬぎぬの訣れを惜しんでいる。僧はすっかり草鞋を穿き終えた。そしてすっくと立上って二三歩あるくとくるりと振向いた。その時、僧の顔は引緊って、国太郎が昨日、日本堤で見た平調に返っている。

僧は言った。

――さて、おなご衆さん、わしはゆうべ持っとる金をすっかり費い果した。今朝の朝飯代が無い。あんたの仏道の結縁にもなる事だから、この旅僧に一飯供養しなさい」

女は驚いた。

――まあ、随分ずうずうしいお客さんだわね」

しかし僧は顔色一つ変えなかった。

――いや、今まではあんたのお客さんだったが、もうお客さんではない。