Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はたしじょう

はたし状

山本 周五郎

Leggi はたし状 (はたしじょう) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.525 caratteri · 39 schermate

Aozora Bunko

……そして年があけると、つまり江戸へ来て三年目であるが、その文章がしだいに崩れて、

――学校はどのくらい続けるのか、いつ頃になったら帰るつもりか。

そんなふうに変り、やがて辛抱が切れたように、来る手紙がみな哀訴の文字で埋まるようになった。母は自分が病弱になったと繰り返し、日夜の孤独と寂しさをかき口説いて来た。

――帰ってお呉れ、第さん、どうか早く帰って……。

彼が帰国したのはそれからさらに一年経って、ちょうど藩主が出府して来てすぐあとのことだった。昌平黌で史学を主に学んだ彼は、まえの年の冬に御文庫を命ぜられ、藩家の蔵書の整理とその補充調査の役に就いた。帰国したのは国許の書庫を整理するためで、父の位地はそのまま、彼に特旨として三百石、寄合番頭の格式が与えられた。

第二は江戸にまる三年余いたわけであるが、この期間に彼の性格はかなり変った。彼は周囲には友人を一人もつくらず、暇があるとごく軽い身分の者の住居を訪ね、しまいには足軽長屋などへ好んでいった……。同じ藩士であり同じ邸内に住みながら、そこは貧しく、不潔で暗く。常に病気や不幸や災厄が付きまとっていた。