Classici giapponesi con furigana
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ひとごろし
ひとごろし
山本 周五郎
Leggi ひとごろし di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 22.607 caratteri · 45 schermate
「ずいぶんばかな御家中ね、なにも武芸に強いばかりがお侍の資格ではないじゃありませんか」
「世間ではからかう人間が必要なんですよ」と六兵衛はまた溜息をついた、「誰にもしんからのわるぎはないんだと思う、よそのことは知らないが、どこでも一人ぐらいは臆病者と呼び、そう呼ばれても怒らないような人間が必要なんだと思います」
「それであんた」思わずはしたない呼びかけをして、おようは赤くなった、「どうしてもあの人を討つ気なんですか」
「さもなければ、妹は一生嫁にゆけないんですからね」
「あなたのことはどうなんですか」
「私のなにがです」
「お嫁さんのことよ」とおようがさぐるようにきいた、「上意討が首尾よくいけば、あなたにもお嫁さんに来る人がたくさんあるんでしょ」
六兵衛はちょっとのま考え、それから枕の上でそっと首を振った、「そうは思いませんね」と彼は陰気な口ぶりで云った、「――臆病者というのはこの私です、妹は嫁にゆけるかもしれないが、臆病者と呼ばれてきたのはこの私です、一度ぐらい手柄を立てたところで、生来の臆病者の名が消えるわけじゃありませんよ」
おようは考えこんだ。この宿のどこかで、賑やかに囃したりうたったりするのが聞え、床下で鳴く虫の声が聞えた。