Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひやめしものがたり

ひやめし物語

山本 周五郎

Leggi ひやめし物語 (ひやめしものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.861 caratteri · 31 schermate

Aozora Bunko

佳人をみそめたのは、その道楽の古本あさりをする途上のことだ。片町通りの古道具店を出て歩きだすとすぐ、香林坊のほうからその人が来た。すれ違うときこちらを見て、ぱちぱちと三つばかり目叩きをした、利巧そうな、はっきりした眼つきで、目叩きをした瞬間なにか眸子がものを云ったようにみえた、彼はどきっとして急ぎ足に通り過ぎた。五日ばかりして、同じ道の上でまた会った、それから三たび、四たびと、たいてい同じ時刻に同じ町筋で会う、……濃い眉毛が緑色にみえるほど色が白い、生え際のはっきりした三角額で、薄手の唇をきゅっとひき緊めている、決して美人ではない、よく云っても十人並というくらいだろう、然し眼だけは際立って美しい、殊にこっちを見て、ぱちぱち目叩きをするときなどは、そこだけ花が咲くように美しくなる。……帯も着物もじみな柄で、いつも若い下女を供につれている、さっさっと裾さばきも鮮やかな足どりで、まっすぐ前を見て歩く、晴れた秋空の下で桔梗の花を見るような印象だ。

大四郎が幾ら暢気でも、その人のほうへ傾く自分の感情が、どんな意味をもっているかわからないほど木念仁ではない、そこでその意味に気がつくとすぐ、彼は母のところへ相談にいった。