Classici giapponesi con furigana
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みずぐるま
みずぐるま
山本 周五郎
Leggi みずぐるま di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 27.077 caratteri · 54 schermate
そして和次郎は一人息子だから、自分が彼と結婚する場合には河内家の跡継ぎということが必ず問題になる。それが若尾の頭にいつもひっかかっていた。ふしぎなことには、和次郎と結婚できるかどうかという点は疑ぐってもみなかった。それは若尾のなかで、もう既定の事実になっているようであった。
「でも書いたのだとしたら、却ってそのほうが、よかったかもしれないわ」若尾は肚をきめたようにそう呟いた、「こういう事は早くはっきりさせるに越したことはないんだもの、そうよ、そうですとも」
若尾はすぐに筆を取って、――手紙の趣はよく了解した。仰しゃるとおりすべてをあなたにお任せし、自分は安心して勤めに出精する。そういう返事を書き、和次郎に送った。その返事を出したあとで、若尾は自分のやりかたを反省し、首を振りながら呟いた。
「あたしって、かなり狡いらしいわね」
だが、それからまもなく、若尾は思いもかけない人物と、好ましからぬかかわりができた。
三月にはいってすぐのことであるが、上邸へあがって姫の手直しを済ませ、昼食(それは初めからのことであるが)を頂だいして御殿をさがると、中の口のところで一人の侍に呼びとめられた。