Classici giapponesi con furigana
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みちのく
みちのく
岡本 かの子
Leggi みちのく di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6136 caratteri · 13 schermate
少年はなぜこれが早く判らなかったのだろうという顔つきをして、嬉しそうに箸を取り上げる。
少年には卑屈の態度は少しも見えなかった。
食事の態度は行儀よく慎ましかった。少年はたっぷり食べた。「お雑作でがんした」礼もちゃんと言った。店の忙しいときや、面倒なときに、家のものは飯を握り飯にしたり、または紙に載せて店先から与えようとした。すると少年は苦痛な顔をして受取りもせず、踵を返してすごすごと他の店先へ掃きに行った。坐って膳に向うのでなければ少年は食事と思わなかった。
少年は銭も受取らなかった。銭は貰ったこともあるが大概忘れて紛失するので懲りたらしい。
「あれは、どこか素性のいい家に生れた白痴なのだ」
「そう言えば、上品だ」
町の人は、少年自身がわずかに記憶している四郎という名を聞き取って四郎馬鹿と言ったが、四郎馬鹿さんと愛称をもって呼ぶようになった。
「四郎馬鹿さんに見舞われた店はどうも繁昌するようだ」
東北の町々にこういう風評が立った。だいぶ以前から四郎は、最初出現したS――の城下町にも飽いて、五六里距った新興の市へ遊びに行った。誰か物好きに荷馬車にでも乗せて連れて行ったらしい。