Classici giapponesi con furigana
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めおとちょう
めおと蝶
山本 周五郎
Leggi めおと蝶 (めおとちょう) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 23.977 caratteri · 47 schermate
実家の兄は納戸奉行をしているので、兄にきいたらわかるかもしれない、そう思って、
「妹の縁談のことで住川へいってまいりたいのですが」
こう云ってみたが、良人はこっちへは眼も向けず、いつもの冷やかな声で拒絶した。
「いま御用が多忙だ、留守にされては困る」
文代が石仏のようなと云った、感情の少しもあらわれない、とりつく島のない態度である。信乃はひきさがるよりしかたがなかった。――そうだ、なまじ知らないほうがいいかもしれない、理由がわかったところで自分にはどうすることもできない、……それに、今の自分とは関係のない人だ。
自分でこう自分をなだめ、なるべくその事を忘れようと努めた。しかし事実は反対で、気持はおちつくときがなく、頭のなかではいろいろな想いが、渦紋のように絶えず消えたり現われたりした。その中心にあるのはいつも知也であり、ついでなにかを指摘するかのように妹の囁きが聞えた。
――お可哀そうなお姉さま。
妹のその囁きは信乃をぞっとさせる。それは罪の自覚を促すように思える。知っていたのだろうか、知也と自分とのことを。そんな筈はない、妹に気づかれたような記憶はないし、あの僅かな、一陣の風の吹き去ったような出来事は、決してはたの者にわかるようなものではなかった。