Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ゆだんたいてき

ゆだん大敵

山本 周五郎

Leggi ゆだん大敵 (ゆだんたいてき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 20.664 caratteri · 41 schermate

Aozora Bunko

「遅いぞ渡し守」

近寄って来た足音を聞いて主税助はふり向いた。

「……これへ持ってまいれ」

「酒は後にしよう」

「なに」

かれは颯と身を起した。

「……誰だ」

渡し守ではない、片手に燗徳利を持っているが武士だ。

主税助はがばと立った、その面前へ、

「もうお見忘れか」

と云って久之助が歩み寄った。

「御前で相手をした老田久之助という者だ」

「……思いだした、あの師範だな」

主税助はぎろっと眼を光らせた。

「……して、ここへ来たのはなんのためだ、拙者に用でもあるか」

「そこもとはわれらの御しゅくんの悪口を申したそうだ、人づてだからたしかとは云えない、われらの殿を暗君で在すかのように申したのは事実かどうか、それを聞きにまいったのだ」

「長岡びとは気がながいな」

主税助は唇に嘲りの笑みをみせた。

「……わが主の悪口をいわれて、わざわざ念を押しに来るとは見あげたものだ、申したと云ったらどうする」

「心ないことをしたものだ」

久之助はおちついた声で云った。

「……他藩のしゅくんの悪口を申せば、その藩に仕える武士は手をつかねてはいない、君の辱しめらるるとき」

「臣は死すという」

主税助は久之助の言葉をもぎ取って云った。