Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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わがあいするしじんのでんき(さん)

わが愛する詩人の伝記(三)

室生 犀星

Leggi わが愛する詩人の伝記(三) (わがあいするしじんのでんき(さん)) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.406 caratteri · 22 schermate

Aozora Bunko

大概の気強い威丈夫な男連が、一生粉身砕骨しても別れられない夫婦関係を、萩原は美事に二度までやって退けたのは、よくよくの事情があるにしても彼自身のぐにゃぐにゃが、いかに硬骨のお偉ら方にくらべて大したぐにゃぐにゃであったかが判るのだ。つまり萩原という人は一度も子供に怒ったことがないし、母とか父の命にそむいた事もなかった。自分の妻を叱ることもなかった。何でも、あ、よしよしといい、そうか、そうしたまえそれがいいと言うように強い意志を示すものは、原稿になにか書く時の外は滅多に現わさなかった。原稿の上ではきゅうに人が変り顔が変り彼の生活が変り、ぐにゃぐにゃさんがカンカン男になり、カンカン男が哲学者の鉄兜をかぶり時折ニイチエの義眼をはめこんでいた。泥酔すれば道路の上でも、停車場のベンチに横になることは勿論、電柱にすがり付いたまま動けずに眼をとじ、警官が来ればいま何時ですかと敢て質問する夜半の紳士である。毎晩彼は町に飲みに行くときはあらかじめ拾円(昔の)くらいきちんと持って出ていたから、金は落しても財布には幾円ものこっていないのだ。これは偶然ではなく泥酔すればめちゃくちゃになるので、金は拾円しか最初から持って出ないのであった。