Classici giapponesi con furigana
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わがまち
わが町
織田 作之助
Leggi わが町 (わがまち) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 93.840 caratteri · 186 schermate
生れた子は男の子で、勉吉と名をつけると、
「ベンゲットのベン吉やな」
と、他吉は悦に入った。
鶴富組の沈没船引揚げ作業はまだ了っていなかった。
次郎が電報をうつと、スグコイマッテイルとの返事だったので、喜んで行こうとすると、君枝はもじもじしながら、
「うちも一しょに行くわ。潜水船の喞筒(ポンプ)押しに」
と、言った。
次郎は驚いた。喞筒押しは、浅い底の土木工事などでは、女人夫三人ぐらいで行われるが、十尋二十尋ではもう女の力に余って、六人から八人もの男の力を借らねばならない俗に「喞筒押し一升飯」といわれるほどの労働なのだ。
「女にはとても出来んよ」
そう言うと、君枝は、
「うち今まで毎日お祖父ちゃんの俥のタイヤに空気入れてたさかい、喞筒押しするのん上手やし。こない言うて、なんやこう、あんたに離れるのがいやで言うみたいやけど……」
ぽっと赧くなった。
そんな君枝が次郎にはたまらなく可愛かった。
「そんなら一しょに行ってもらほか。喞筒押しでなくても、ホース持ちなら出来るやろ」
ホース持ちは、空気の過不足の合図を受ける大切な役目で、昔は潜水夫の妻がこれをしていたのである。