Classici giapponesi con furigana
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イタリアじん
イタリア人
寺田 寅彦
Leggi イタリア人 (イタリアじん) di 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 3981 caratteri · 8 schermate
日本へ来ている外国人には珍しい下等な暮しをしていたが、しかし月給はかなり沢山に取っているという噂であった。日本へ来ているのは金をこしらえるためだから、なんでも出来るだけ倹約するのですと彼自身人に話したそうである。
黒田の居た二階の縁側に立って見ると、裏の塀越しにイタリア人の家の庭から縁側が見下ろされる。二間あるかなしの庭に、植木といったら柘榴か何かの見すぼらしいのが一株塀の陰にあるばかりで、草花の鉢一つさえない。今頃なら霜解けを踏み荒した土に紙屑や布片などが浅猿しく散らばりへばりついている。晴れた日には庭一面におしめやシャツのような物を干す、軒下には缶詰の殻やら横緒の切れた泥塗れの女下駄などがころがっている。雨の日には縁側に乳母車があがって、古下駄が雨垂れに濡れている。家の中までは見えぬがきたなさは想像が出来る。細君からして随分こんな事には無頓着な人だと見える。どうせあんな異人さんのおかみさんになるくらいの人だからと下宿の主婦は説明していたそうな。しかし細君はごく大人しい好人物だというので近所の気受けはあまり悪い方ではなかったらしい。
主人のジュセッポの事を近所ではジューちゃんと呼んでいた。