Classici giapponesi con furigana
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カインのまつえい
カインの末裔 クララの出家
有島 武郎
Leggi カインの末裔 クララの出家 (カインのまつえい) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 45.864 caratteri · 93 schermate
春には花に口を触れよ。
春なり今は。春なり我れは。
春なり我れは。春なり今は。
我がめぐわしき少女。
春なる、ああ、この我れぞ春なる。
寝しずまった町並を、張りのある男声の合唱が鳴りひびくと、無頓着な無恥な高笑いがそれに続いた。あの青年たちはもう立止る頃だとクララが思うと、その通りに彼らは突然阪の中途で足をとめた。互に何か探し合っているようだったが、やがて彼らは広場の方に、「フランシス」「ベルナルドーネの若い騎士」「円卓子の盟主」などと声々に叫び立てながら、はぐれた伴侶を探しにもどって来た。彼らは広場の手前まで来た。そして彼らの方に二十二、三に見える一人の青年が夢遊病者のように足もともしどろに歩いて来るのを見つけた。クララも月影でその青年を見た。それはコルソの往還を一つへだてたすぐ向うに住むベルナルドーネ家のフランシスだった。華美を極めた晴着の上に定紋をうった蝦茶のマントを着て、飲み仲間の主権者たる事を現わす笏を右手に握った様子は、ほかの青年たちにまさった無頼の風俗だったが、その顔は痩せ衰えて物凄いほど青く、眼は足もとから二、三間さきの石畳を孔のあくほど見入ったまま瞬きもしなかった。