Classici giapponesi con furigana
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カストリしゃじけん
カストリ社事件
Leggi カストリ社事件 (カストリしゃじけん) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.043 caratteri · 21 schermate
二十万円の代り、突くなり、斬るなり、お気のすむように、存分にやって下さい」
と云って、花田一郎は、目をとじた。
小心者で、ちょッと針で突かれても、アッチッチと悲鳴をあげる弱虫であった。然し、彼は、まったく、覚悟をきめたのである。
悲愴な覚悟だ。
全然余裕がないから、覚悟はヒタムキで、正座して目をとじた姿には、迫力があった。斬られるのは、痛い、苦しいと語っている。然し、それでも、死なねばならぬと観念している。見方によれば、滑稽でもあった。
国際使節は、花田一郎の覚悟のほどが、はかりかねて、土井片彦にギロリと一睨み、
「お前もか」
「違うよ。冗談じゃないよ」
片彦は、大いに慌てた。
「オレは来たくなかったけど、立会人に来てくれというから、だから、云わないことじゃないよ。オレは、そもそも、死ぬッてことが、一番キライなんだ。でも、いずれ、死なゝきゃならない。これが、変なことなんだな。それでもって、色々、ワケがわからなくなって、このワケは、いまだに、誰にも分らない。人間の知識は、アサハカですよ」
「つまり、花一はじめ、お前ら、チンピラ記者ども、オレの社長じゃ、イヤだと云うのだな」