Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

カンカンむしさつじんじけん

カンカン虫殺人事件

大阪 圭吉

Leggi カンカン虫殺人事件 (カンカンむしさつじんじけん) di 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.237 caratteri · 21 schermate

Aozora Bunko

夜業はなかったです。』労働者が答えた。

『なかった? ふむ。ないものをあると言うからには、何か知られ度くない事情があったんだな。お内儀さん、心当りは御座居ませんか?』

『別に、御座居ませんけど――』

『そうですか。で、御主人は一人で出掛られたんですね?』

『いいえ。源さんが、あの山田源之助さんが呼びに来られて、一緒に出掛けました。』

『御近所ですか?』

『ええ、直ぐ近くですし、それにとても心安い間柄でしたから寄って呉れたんです。出がけに表戸の前で、「あの若僧すっかり震え上って了いおった。」とか「今夜は久し振りに飲めるぞ。」とか二人で話し合いながら出て行くのを、妾はこっそり立聞きしていました。』

『ほう。好くそんな話を覚えていられましたね?』

『ええ。前の日まで中気で寝ていた源さんは、その日無理をして仕事に出た為め工場で過って右腕に肉離れをして了ったのです。で、そんな怪我をした弱い中気の体で、又酒など飲んでは――と他人事ながら心配でしたので、あの話は好く覚えております。』

『いや有難う。それで、そのまま二人共帰らないんですね?』

『ええそうなんです。』

『有難う。』

喬介は丁寧に礼を言って彼等の側を離れると、私を顎で呼びながら船渠の方へ歩き出した。