Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

カンカンむしさつじんじけん

カンカン虫殺人事件

大阪 圭吉

Leggi カンカン虫殺人事件 (カンカンむしさつじんじけん) di 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.237 caratteri · 21 schermate

Aozora Bunko

』

喬介はこう言って、鉄工場の方へどんどん歩き出した。私は驚いて思わず声を挙げた。

『エッ! 殺人の現場? どうして君はそれを知っているんだ。』

私の質問に微笑を浮べた喬介は、歩きながら言葉を続けた。

『ふむ。何でもないさ。君はあの死人の左の顔面に気味悪いソバカスのあったのを覚えているだろう。僕はあれを見た瞬間に、ソバカスが顔の一方に丈けあるのを不思議に思ったんだ。で、よく調べて見ると、なんの事はない鉄の切屑の粉が一面にめり込んでいるのさ。つまり、ソバカスと思った小いさな斑点は、被害者が心臓を突き刺されて、俯向になった儘バッタリとノビて了ったトタンに、めり込んだ鉄屑なんだ。僕はこの推理の延長から、殺人の現場を直感する。それは旋盤工場である。旋盤工場はあの鉄工場の一部にある筈だ。其処の裏手の屑捨場まで歩けば、もうそれで充分だ。』

私は黙って喬介の後へ続いた。途中で行逢った職工の一人に屑捨場の所在を訊ねた私達は、それから間もなく鉄工場の隅の裏手へやって来た。其処には、油で黒くなった古い鉄粉や、まだ銀色に光る新しい鉄粉が、山と積って捨てられてある。

喬介は直ちに手袋をはめると、比較的新らしい鉄屑の傍へ腰を屈めて、ごそごそとさばき始めた。