Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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カンカンむしさつじんじけん

カンカン虫殺人事件

大阪 圭吉

Leggi カンカン虫殺人事件 (カンカンむしさつじんじけん) di 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.237 caratteri · 21 schermate

Aozora Bunko

と、落着き払って喬介は言う、『だが、他の多くの条件の符合を無視して、只これだけで犯人を山田と断定する事は、どう考えても危険性の多い話だ。僕は先ず、被害者は一体何をしにこんな処までやって来たのだろうか? その方を先に考えたい。そして君は、あの先程被害者の細君が話した「若僧震え上って了った」とか「今夜は久し振りに飲める」とか言う二人の間の密やかな会話を覚えているだろう? あの会話は、あの晩二人の間に「若僧」と呼ばれた一人の第三者が関係していた事を意味する。勿論、その第三者と言う男は、二人よりも年若であったろうし、そして又――』

喬介は茲で語を切ると、腰を屈めて何か鉄屑の間から拾いあげた。よく見ると鉄屑の油で穢れてはいるが、まだ新しい中味の豊富な広告マッチだ。レッテルの図案の中に「小料理・関東煮」としてある。喬介は微笑しながら再び語を続けた。

『そして又その男と言うのはだね。恐らく此の頃何処か、多分西の方へでも旅行した事のある男だ。どうしてって、ほら君の見る通りこのナイフの側に落ちていた広告マッチのレッテルには「小料理・関東煮」としてある。関東煮とは、吾々東京人の所謂おでんの事だよ。