Classici giapponesi con furigana
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ガラマサどん
ガラマサどん
佐々木 邦
Leggi ガラマサどん di 佐々木 邦 (ささきくに) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 99.079 caratteri · 202 schermate
河野はその意味で我輩を見ていた。ところが我輩も亦河野が羨ましい。というのは何うか斯うか人間並になったと思うと、もう先がない。此奴ぐらい若かったらと、つい河野の顔をジロ/\見ていたのさ」
「成程」
「それが以心伝心でお互に通じたんだね。両方とも期せずしてニッコリ笑った。何うだい? 面白いだろう?」
「はあ。河野もさるものでございますな」
「頭が好い。大いに激励して置いた」
と社長は河野にも特殊の形式で和解を申入れたのらしい。松本君の言う通りだ。叱っても、自分が悪かったと思えば、そのまゝにしていられない。必ず犒う。
それは兎に角、私は自叙伝の材料を取りに毎晩のように出頭するのだが、社長はその折の気分次第で編集事務に一向関係ない話を始める。義太夫を聴かされるよりは宜いようなものゝ、これでは仕事が捗らなくて困る。その晩も空しく世間話のお相手を勤めるのかと思っていたら、
「君、一番お仕舞いの章は『ガラマサどんの死』としてくれ給え」
と突如本題に入った。
「はあ?」
「ガラマサどんの死」
「社長、ガラマサどんてのは一体何のことですか?」
と私は忽ち薄氷の上へ投り出されたような心持になった。