Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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キャラコさん

キャラコさん

久生 十蘭

Leggi キャラコさん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.236 caratteri · 43 schermate

Aozora Bunko

ここまでいいかけると、とつぜんいらいらした口調で、

「もう、よしましょう。この話は」

と、クルリとキャラコさんに背中を向けてしまった。

キャラコさんは、宿へ帰ると、秋作氏の気付にして、ヘルムショルツ先生の高弟に宛てて長い長い手紙を書いた。

……そういうわけですから、この手紙を見次第、鞄を持って飛んで来て、ちょうだい。これは、あたしの、めいれいよ。と結んだ。日記には、こんなふうに書きつけた。

キャラコの信念

佐伯氏の眼は、必ず見えるようになる!

一日おいて次の日、立上氏から、ミヨウゴニチアサユクという電報が来た。

キャラコさんは、その電報を持っていつものところへ駆けて行った。

木笛は蘆の中に置いてあるが、佐伯氏の姿は見えない。四時ごろまで待っていたがやって来ない。もしや水ぎわにでもいるのかとそのほうを見廻したが、渚には人の影らしいものもなかった。

キャラコさんは手帳の紙に、

佐伯さま。明後日のあさ、ここへ、ヘルムショルツ先生の高弟が来ます。どうぞ、あなたの眼をふたつ貸してちょうだい。

と、走り書きをし、それを電報用紙の中へ細長くたたみ込み、その表に、(茜さま、これを読んでさしあげてくださいませ)と、書いて、それを木笛に結びつけた。