Classici giapponesi con furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Leggi キャラコさん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 26.767 caratteri · 54 schermate
ことさららしく顔をしかめているのに、みなの頬骨のうえのところに美しい血の色がさし、さながら輝きだすようにさえ見えるのである。
分析皿にも、現像のパットにも、何ひとつ残らなかった。あんなに山盛りになっていたサラダも虹鱒のフライも、朝日に逢った淡雪のようにどこかへ姿を消してしまった。特大のコッフェルで炊いたご飯が、ほんの申し訳ほど底に残っただけだった。キャラコさんは、乾麺麭でもかじって我慢するよりしようがないことになった。
黒江氏が、申し訳なさそうな声で、いった。
「こりゃ、どうも……、あなたのぶんまで侵略してしまったようですね」
キャラコさんが、笑いだす。
「いいえ、そんなことはありませんわ。あたし、手廻しよく、さっきすまして置きましたの」
食事がすむと、熱いチョコレートまで一杯ずつ配られた。
四人は、チョコレートのはいった手コップを取りあげると、這々のていで実験室まで引きさがって行った。
黒江氏が、チョコレートをすすりながら、遠慮がちに、つぶやくような声で、いった。
「……ともかく、あのお嬢さんに、家政と料理の天分があるということだけは、認めてもいいわけだね」