Classici giapponesi con furigana
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シベリヤにちかく
シベリヤに近く
里村 欣三
Leggi シベリヤに近く (シベリヤにちかく) di 里村 欣三 (さとむらきんぞう) in giapponese con furigana. JLPT N1. Tocca una parola per il significato.
N1 · avanzato · kanji e kana moderni · 5803 caratteri · 12 schermate
「隊長殿。苦力どもが坐り込んで、どうしようとも行進を肯じないのであります。彼奴等は石のように坐り込んだまま動かないのであります。はッ」
「何んだと? 動かない!」
隊長は忽ち顔色をかえてせき込んだ。
「は、彼等は日給の増額を要求しているのであります」
ふいに高村が叫んだ。
「うぬ、畜生!」
唸ったかと思うと、彼は手荒く手綱をひねって、馬をかえすと、土煙をあげて跳び出した。
「また、高村の野郎奴、やりおったな」
隊長は複雑な顔色で呟いた。「奴等は少しも利益を貪る以外には、奉公の観念がないのだ!」
ずっと、隊列は後に遅れていた。そして濛々とした土煙は、曠野の彼方に吹き靡いて、路上に輜重車が、丁度壊れかかった家具のように抛り出されていた。苦力達は青草の原に隊列を離れて寝そべり、あぐらを組んで、兵卒や苦力頭が声高く罵り怒鳴り、威嚇する銃剣や鞭に対して、執拗な沈黙と拒否の態度を固持していた。馬は思い思いに引具のついたままに、輜重車を青草のなかに引きずり込んで、草を頬張っていた。
「何んという奴等だ!」
隊長は憤慨した。こんなことは、日清日露の役にも経験したことがない。