Classici giapponesi con furigana
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スウィスにっき
スウィス日記
辻村 伊助
Leggi スウィス日記 (スウィスにっき) di 辻村 伊助 (つじむらいすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 216.275 caratteri · 410 schermate
ゴツリゴツリ岩角にぶつかりながら、下りて行くのが、一足毎に脳天迄沁み透るくらいズキズキ痛む。後で見るとあれ程、しっかり打ったネイルドブーツの釘が曲って、三本までどこかに無くなしたくらいで、時間は自分ながら呆れるほどかかったが、それでもどうやらベーニセックの岩山を登り下りして、草原に雪のなだれた、斜面までこぎ付けた。
登山の前と違って、いささか意気消沈の気味だが、早く村に出て、ビールでもチトローネンワッサーでも、一杯飲みたいと、此時は、そればかりが望みだった。気が付かずに、近藤君のパイプを持って来てしまったのが望外の幸福で、山の空気でカサカサに乾き切った刻みを、何度もふかして居た。
もう日暮に間もあるまい、四時間余りの途のりに、彼これ七時間も費やして、ベールエックのとっつきの、牛小屋まで辿り着くと、今迄いやに薄ぐらく、頭の上に覆いかぶさっていると思った夕雲が、いつの間にかオックスからアイガーの裾へ拡がりかかって、そのうち、どっと細引のような大雨になった。
フォイツの奴は、大した怪我ではないと見えて、ガイドの連中より先に、ベールエックへ行ってしまったが、歩けない私は、仕方がないとして、附きそった二人のガイドは、帽子からズボンまでずくずくに濡れながら、それでも厭な顔もせず、根気よく私を引っ張ってくれる。