Classici giapponesi con furigana
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ズラかったしんきち
ズラかった信吉
宮本 百合子
Leggi ズラかった信吉 (ズラかったしんきち) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 54.656 caratteri · 110 schermate
――みんなが上手く喋るどころか! ノーソフの奴、勢こんで、
「タワーリシチ!」
と、とび出したはいいが、いきなり次の言葉につっかえて、
「どうした蓄音器! こわれたか!」
彌次られて真赤になったぐらいのもんだ。
それでも、みんなの切れ切れな言葉には、底に決して千切れない、強靱な、明瞭なものが流れていて、黒い力が溢れそうになるとひとりでそこへ行って堤になる。ズリ落ちそうになると、引き上げる。
口で云えない伸縮自在な、共通な力をもっている。その力を感じると、例えば信吉自身だ。人前に出せるロシア語じゃないのだが、それをも忘れ、何か云いたい、何とか云いたいものがグイグイ腹ん中から湧き上って来るみたいな頼もしい心持になるのだ。
(こないだ、鍛冶部の連中が、不平を鳴らさず半コップの牛乳を飲み干した時の様子からも、信吉は無言の、この力を感じた。)
次から次へと、そういう心持が呼び醒まされ、現にどうだ。
最後のしめくくりにヤーシャが、一言一言、ききて全体の心へ打ちこむように、消費組合監督突撃隊組織とその〔三字伏字〕任務について話してる今、所持品置場の内外に溢れたいろんな髪色の頭は、てんでに別なことでも考えてるか?