Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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シグナルとシグナレス

セロ弾きのゴーシュ

宮沢 賢治

Leggi セロ弾きのゴーシュ (シグナルとシグナレス) di Miyazawa Kenji (宮沢 賢治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.296 caratteri · 32 schermate

Aozora Bunko

にわかにぱっと暗くなり、そこらの苔はぐらぐらゆれ、蟻の歩哨は夢中で頭をかかえました。眼をひらいてまた見ますと、あのまっ白な建物は、柱が折れてすっかり引っくり返っています。

蟻の子供らが両方から帰ってきました。

「兵隊さん。かまわないそうだよ。あれはきのこというものだって。なんでもないって。アルキル中佐はうんと笑ったよ。それからぼくをほめたよ」

「あのね、すぐなくなるって。地図に入れなくてもいいって。あんなもの地図に入れたり消したりしていたら、陸地測量部など百あっても足りないって。おや! 引っくりかえってらあ」

「たったいま倒れたんだ」歩哨は少しきまり悪そうに言いました。

「なあんだ。あっ。あんなやつも出て来たぞ」

向こうに魚の骨の形をした灰いろのおかしなきのこが、とぼけたように光りながら、枝がついたり手が出たりだんだん地面からのびあがってきます。二疋の蟻の子供らは、それを指さして、笑って笑って笑います。

そのとき霧の向こうから、大きな赤い日がのぼり、羊歯もすぎごけもにわかにぱっと青くなり、蟻の歩哨は、またいかめしくスナイドル式銃剣を南の方へ構えました。