Classici giapponesi con furigana
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ゼラールちゅうい
ゼラール中尉
菊池 寛
Leggi ゼラール中尉 (ゼラールちゅうい) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7909 caratteri · 16 schermate
聡明な独帝が、そんな暴挙に出るはずがないというのである。
ガスコアン大尉は、この日も最初はいい加減なところで体よく手を引くところであったが、問題が自分たちに本質的に関係しているので、ついつい深入りをしてしまったのである。二人は熱狂して卓を鳴らしながら、政略上から、戦術上から、外交上から、散々に論じ合った。
傍観者も議論が口で行われる以上、止める気はなかった。で、二時間近くも論戦は続いた。もう二人ともいうことは何も残っていなかった。
と、平常に似合わず激昂していたガスコアン大尉は、最後に、
「時が証明するのを待とう」と叫んだまますたすたとその室を出ていった。
「むろん! お互いにさ」とゼラール中尉の激しい声が、ガスコアン大尉を追っていった。その翌日も翌日も二人は挨拶もしなかった。
八月一日、ドイツがフランスに向って宣戦し、仏露がこれに応じた。大仕掛の殺人事業の序幕が開かれたのである。
ベルギーを衝くか衝かぬかは、ベルギーにとっては死活の問題であった。人々は皆独帝の剣が、他を指すことを心ひそかに祈っていた。ただベルギー人の中でゼラール中尉一人だけは、独軍の国境突破の報を今か今かと待ち受けていた。