Classici giapponesi con furigana
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ゼラールちゅうい
ゼラール中尉
菊池 寛
Leggi ゼラール中尉 (ゼラールちゅうい) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7909 caratteri · 16 schermate
真夏の暑苦しい砲台の空気のうちに、血腥い空気が澱んでいた。そして死に切れない重傷者のうめきが、思い出したように時々きこえてきた。ガスコアン大尉は、さすがにゼラール中尉の生死が気遣われた。彼は倒れた死傷者を一人一人見て歩いた。そしてやっとのことで、砲身のすぐ横に血に染まって倒れている中尉を見出したのである。中尉は腹部に大きい砲弾裂傷を受けていた。まだ息はあるようであったが、まったく昏睡してしまっていた。大尉の心には、もう中尉に対する憎悪は少しもなかった。彼の頭のうちには、国家のために奮闘して倒れた勇士に対する純な尊敬と感謝とだけがあった。中尉のそばに蹲った彼は、水筒に入れてあったブランデーを、負傷者の口に注ぎ入れた。すると強烈な酒によって刺激された中尉の神経は、ほんのしばらくの間ではあったが、再びこの世界に呼び戻された。大尉は声を励まして、
「僕だよ! ガスコアンだよ。気を確かにしたまえ。すぐ担架をよこすからね」と中尉の耳近く叫んだ。すると中尉の朧げな意識のうちに、ガスコアンという名が浮んだのであろう。彼はうわ言のように、
「ガスコアン君! 時は本当の審判者でないか」