Classici giapponesi con furigana
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ゼラールちゅうい
ゼラール中尉
菊池 寛
Leggi ゼラール中尉 (ゼラールちゅうい) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7909 caratteri · 16 schermate
「僕はキュラソーを飲みたいものだがね」という希望を婉曲に現すと、ゼラール中尉は、
「君! このカフェーのキュラソーはまるきりだめなんだよ。ここはポンチがうまいんだ。ここじゃポンチに限るんだよ」といいながら、彼はうまそうにポンチをすすってみせるのであった。こんな時にガスコアン大尉が強いてキュラソーを注文することは、二人の間のまだ基礎の浅い友情を傷つけることはもちろん、普通一般の社交の精神にも反することである。仕方なく大尉は、心のうちの不平を殺しながら、体よく自分の要求を曲げるよりほかに仕方がなかった。ガスコアン大尉にだんだんこういうことが分かった。それは、ゼラール中尉と一緒にいるということは、常に彼の意志や欲求のお相伴をするということであった。中尉は常に二人が行動するプログラムを作った。
「君、今夜はオペラへ行こう」とか、「今日はムーズ川の堤を散歩しよう」とかいうことを、彼は巧みに、しかも執拗に相手に強いた。しかもそれを拒絶することは、たいていの場合に友情を損なう危険を伴うていることが多かった。十日と経ち、二十日と経つうちに、大尉はゼラール中尉と交情を保っていくことは、自分の意志を中尉の意志の奴隷にするのと、あまり違わないことを沁々と悟ってしまったのである。