Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ニッケルのぶんちん

ニッケルの文鎮

甲賀 三郎

Leggi ニッケルの文鎮 (ニッケルのぶんちん) di 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.523 caratteri · 37 schermate

Aozora Bunko

下村さんの方は色が白くてニコニコすると、そりゃ愛嬌があるんだけれども、眼許に少し険があってね、どっちかというと考え深そうな顔でした。内野さんは少し浅黒い方で、ハイカラな言葉でいうと、そりゃ明るい顔なの、だからまあ、下村さんの前では打ち解けて話しても心の隅にはどっかこう四角張った所が残っているような気がするのが、内野さんの前では心底から打ち解けて気が許せるという位の違いはあるの。ええ、そりゃまあどっちかといえば、内野さんの方が好きだったけれども、下村さんだって好きだし、あたし困るわ。あたしだけじゃなくてよ。誰でもきっと困ると思うわ。学問の事はあたしには判らないけれども、二人とも何でもよく知っているらしいのよ、頭脳だって両方大したもんよ。むずかしい事をいってよく議論するの。昼間ならまだよいけれど、夜遅くまで書生部屋でやるんでしょう。あたし寝られなくって困った事があったわ。あたしにはよく分からないけれども二人ともちっとばかし、ほら、あの社会主義とかいうんでないかと思ったわ。

先生はあとから考えて見ると、あの頃少し変だったわ。先の短い人のように、一分一秒を惜しんでせっせと暇さえあれば書斎に籠って書き物ばかししてらっしたし、それにこうなんとなく打ち沈んで元気がなかったし、あたしなんだか近い内に変わった事が起こりそう