Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

ヒルミふじんのれいぞうかばん

ヒルミ夫人の冷蔵鞄

海野 十三

Leggi ヒルミ夫人の冷蔵鞄 (ヒルミふじんのれいぞうかばん) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.412 caratteri · 29 schermate

Aozora Bunko

今日という今日までの、あの地獄絵巻にあるような苦悩は、嵐の去ったあとの日本晴れのように、跡かたなく吹きとんでしまったのだ。なぜもっと早く、そのビッグ・アイデアに気がつかなかったのだろう。

始めの考えでは、妾は剖検を終えたあとで、夫の躰を再び組み直して甦らせるつもりだった。妾の手術の技倆によればそんなことは訳のないことなのであるから。――だが妾は急に心がわりしてしまった。

恋しい夫のバラバラの肢体は、そのまま冷蔵鞄のなかに詰めこんでしまった。夫の手足を組み立てて甦らせることは暫く見合わすことに決めた。何故?

妾はゆくりなくも、愕くべき第二のビッグ・アイデアを思いついたからだ。恐らく妾は今後二十年を経るまでは、夫万吉郎のバラバラ肢体を組立てはしないだろう。二十年経つまでは、夫の肢体を冷蔵庫のなかに入れたまま保存するつもりだ。なぜだろう?

今から二十年経てば、妾はもう五十歳の老婆になる。整形外科術の偉力でもって、見かけは花嫁のように水々しくとも気力の衰えは隠すことができないであろう。そしてもし夫万吉郎を今日甦らせて置けば、二十年後には四十五歳の老爺と化すであろうから、同じように精力の甚だしい衰弱を来すことは必然である。