Classici giapponesi con furigana
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ヒルミふじんのれいぞうかばん
ヒルミ夫人の冷蔵鞄
海野 十三
Leggi ヒルミ夫人の冷蔵鞄 (ヒルミふじんのれいぞうかばん) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.412 caratteri · 29 schermate
というのは――」
「え、ヒルミ夫人の冷蔵鞄?」
僕はハッとわれにかえった。いつの間にか入ってきた見知らぬ話相手の声に――
「おお君は一体誰だい」
僕はうしろにふりかえって、そこに立っている若い男を見つめた。
「私かネ、わたしはこの街にくっついている煤みたいな男でさあ」
といって彼は歯のない齦を見せて笑った。
「しかしヒルミ夫人の冷蔵鞄のことについては、この街中で誰よりもよく知っているこの私でさあ。香りの高いコーヒー一杯と、スイス製のチーズをつけたトーストと引換えに、私はあのヒルミ夫人の冷蔵鞄のなかに何が入っているかを話してあげてもいいんですがネ」
そういって、若い男はブルブル慄える指を、紫色の下唇にもっていった。
或る高層建築の静かな食堂のうちで、コーヒーとチーズ・トーストとを懐しがる若い男の話――
「さっき御覧になったヒルミ夫人――あれは医学博士の称号をもっている婦人ですよ。専門は整形外科です。しかしそればかりではなく、あらゆる医学に通暁しています。世にも稀なる大天才ですね。
田内整形外科術――というのは、ヒルミ夫人の誇るべきアルバイトです。ご存知ではないですか。