Classici giapponesi con furigana
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ピタゴラスとまめ
ピタゴラスと豆
寺田 寅彦
Leggi ピタゴラスと豆 (ピタゴラスとまめ) di 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 2189 caratteri · 5 schermate
らしく思われるのである。「嫌う」ともちがうし、「こわがる」ともちがう。
故芥川龍之介君が内田百間君の山高帽をこわがったという有名な話が伝えられている。これは「内田君の山高帽」をこわがったのか「山高帽の内田君」をこわがったのか、そこのところがはっきりと自分にはわからないが、しかしこの話の神秘的なところが何となくピタゴラスの豆を自分に思い出させるのである。
ピタゴラスはイタリーで長い間地下室に籠っていた後に痩せ衰えて骸骨のようになって出て来た。そうして、自分は地獄へ行って見物して来たと宣言して、人々に見て来たあの世のさまを物語って聞かせたら聞くものひどく感動して号泣し、そうして彼はいよいよ神様だということになった。地下室にいた間は母にたのんで現世の出来事に関する詳細なノートをとって、それを届けてもらって読んでいたという話も伝えられている。これではまるで詐欺師であるが、これはおそらく彼の敵のいいふらした作り事であろう。
ピタゴラス派の哲学というものはあるが、ピタゴラスという哲学者は実は架空の人物だとの説もあるそうで、いよいよ心細くなる次第であるが、しかしこのピタゴラスと豆の話は、現在のわれわれの周囲にも日常頻繁に起りつつある人間の悲劇や喜劇の原型であり雛形であるとも考えられなくはない。