Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ボニンとうものがたり

ボニン島物語

久生 十蘭

Leggi ボニン島物語 (ボニンとうものがたり) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 20.772 caratteri · 41 schermate

Aozora Bunko

あぶない横這いの足許、油断のない久太夫の手許、師走のさなかに大汗になり「この通り、この通り」と手を擦りあわせ、これはもう必死の形相でジリジリと居所変えをしている。

七尾駒三郎は同輩の危難を見捨ててはおけず、行列から外れて濠端に居残ったが、なまじっかな仲裁では、手代どもをつけあがらせることになるから、いい加減なことはできない。腰の刀はこれもよく出来た南部の竹光、義に勇んでそいつをひき抜けば、久太夫とおなじ羽目になる。駒三郎は、海彦が波をしずめのかたちで両手を前に出し、「しずまれ、しずまれ、大手が近い。すこしは場所柄をわきまえろ。しずまれというのに、しずまらぬか」と御下乗の衛士のいうようなことをいって、遠くから久太夫を宥めにかかった。

南部利済の駕籠は、危いところで虎口をのがれ、大堰のあるお濠の角を曲って、外桜田のほうへ急ぐ。それを追うようにして、池田丹波守の駕籠が下ってくる。松平伊予守の行列がくる。駕籠脇のお徒士は、柄袋をはねて刀の柄に手をかけ、この騒ぎを尻眼にかけながらさっさと通りぬけて行く。

塘松の梢に今朝降った雪が消え残り、木枯に吹きよせられた真鴨が三羽、薄氷の上で羽づくろいをしている。