Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ボロやのしゅんじゅう

ボロ家の春秋

梅崎 春生

Leggi ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.411 caratteri · 263 schermate

Aozora Bunko

とり出しながら、中山が言った。

「病室でも撮らせて貰おうと思ってたんだが、つい質問に身が入って、忘れてしまった」

「ぼんやりしてんだな」と彼はすこし笑いながら答えた。「写真版にでもして出すつもりかい。建物でも撮っておけよ」

「そう思っていたところだ」

酒を飲んでいないときの中山は、肩のあたりが妙に寒そうで、乾いた眼のいろをしていた。写真には自信がないらしく、これで写るかな、などと呟きながら、それでも三四枚写した。

「一枚君を撮ってやろうか」

空は灰色に乱れていた。その下にぼんやり佇んでいる彼の姿を、探るように見つめながら、中山は押えつけたような声で言った。

「さっきから、変だと思っていたんだが、君の顔は、おそろしく黄色いぞ」

彼にむけられた写真機のシャッターが切られたとき、彼はすこし上向いて、遠くの空を眺めていた。遠くの空もやはりほのかに黄色を帯びていた。病感がじわじわと彼の胸にひろがってきた。

帰途、電車に揺られながら、中山が言った。

「蜆の味噌汁をのむといいんだよ。三度三度ね」

「そんなことでなおるかね。身体のあちこちがとても痒いんだ」

「脂肪分はいけないよ。