Classici giapponesi con furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Leggi ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.411 caratteri · 263 schermate
ごく貧しい露店の群で、並んだ感じもばらばらで統一がなかった。その中頃に、玩具を売る店が二軒ならんでいた。どちらもすすけたよしず張りで、ゴム風船などが竹の柱にゆわえてあったりした。その一軒の、安っぽい赤や青や黄の不協和な玩具の配列の奥に、そこに坐っている発田の姿を彼は見た。
(こんなところに発田が坐っている)
ごく自然な、ぴったりした額縁のなかに、発田の顔がある。第一に来た感じはそうであった。奇異な感じは全然なかった。しかし彼が発田の顔を認めた瞬間、発田は青ぐろい顔を不自然なやり方で彼の方からそむけたようであった。発田の向い側に、道をへだてて、甘酒など売る店ののれんが下っていた。どういう気持であったのか、彼はふとその店に立寄る気になって、物憂く肩をすぼめてのれんをくぐった。
(咽喉が乾いていたんだ)
しかし彼は一番表側の、通りの眺められる卓に腰をかけて、つめたい飲物を注文した。のれんの隙間から、通りを隔てて、発田の店が正面に見えた。すこしうつむいた発田の青ぐろい横顔に、夕陽がななめに射していて、発田の頬は玩具の色の反射で緑色に染っていた。発田はへんに落着かない風に、身体をもじもじしたり、意味なく手をうごかしたりしていた。